相続問題 遺産分割

相続問題 遺産分割

相続については、まず遺言が優先されますが、遺言がない場合や遺言が法律的に有効でない場合について、相続人になれる人の範囲と順位が民法で定められています。 この規定によって相続人となる人のことを法定相続人と言い、配偶者、子、父母、兄弟姉妹の4種類の立場の人となります。 そして遺産はその法定相続人の共同所有となって、各相続人単独の所有財産とはなりません。 遺産が分割可能な現金や預金、株式などであれば、相続分に応じて分割できますが、不動産や自動車などきれいに分割できない遺産もあります。 相続人が遺産を相続しても、いつまでも共同所有の状態のままだと、財産の管理や処分による障害が生じることになりますので、各相続財産ごとにその所得者を決めるのが、遺産分割という方法です。

◆遺産分割協議
相続人全員が話し合って、相続財産をどのように分けるかを決めることを遺産分割協議といいます。 この遺産分割協議でまとまらなければ、家庭裁判所での調停や審判となります。 家庭裁判所での決定に不服がある場合は、審判書の受け取りから2週間以内であれば、高等裁判所に不服申し立てをすることができます。

◆遺産分割協議書
遺産分割協議は全員が合意すれば成立しますので、協議書を作成する必要はありませんが、書類にしておくことでその内容が明確となり、後々の争いの防止になります。 また、不動産の相続登記をする際や、銀行預金を下ろすときなど、遺産分割協議書が必要となる場合が多くありますので、遺産分割協議が成立した時点で遺産分割協議書を作成して、相続人全員が署名押印しておく必要があります。

・遺産分割協議書作成について

1.タイトルを「遺産分割協議書」とする。
2.被相続人がいつ死亡したか、協議した相続人の名前を記載する。
3.誰がどの財産を取得するのかを、氏名と財産内容を具体的に記載する。
4.不動産の記載は住所ではなく、土地の場合は所在と地番を、建物は所在と家屋番号を記載する。
5.協議内容記載後に、協議の日付と相続人の住所を記載し、自筆で署名、実印を押印する。
6.相続人の数と同じ数を作成し、相続人全員が各自一通ずつ原本を保管するといい。

遺産分割の期限

遺産分割や相続登記についての法定期限はありませんが、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月)までに終わらせて遺産分割協議書を作成しておくべきといえるでしょう。 理由としては、遺産分割が終わっていないと、通常、相続税の優遇措置が受けられなくなるためです。 また、不動産などを被相続人名義のままにしておくと、管理や賃貸など様々な点で障害となります。 相続人全員の意見がまとまったときは、早めに遺産分割協議書を作成して相続登記まで済ませる方がいいでしょう。

寄与分と特別受益

被相続人との生前の関係を考慮し、相続人で実質的な平等を図る制度として、「特別寄与者の寄与分」と「特別受益」の規定があります。 相続分を実質平等にするための調整的規定ですが、「寄与分」が該当する相続人の相続分を増やすのに対し、「特別受益」は該当する相続人の相続分を減らすという目的があります。

・寄与分について 寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与をしたとされる人に、寄与のない相続人よりも多くの財産を受け取ることをいいます。 寄与分は、相続人たちの協議によって定められるもので、以下のような場合に認められるものとします。

・被相続人の事業に関して労務を提供した者
・被相続人の事業に関して財産上の寄与をした者
・被相続人の療養看護をした者

ただし、その行為が被相続人と相続人との身分関係から通常必要とされる扶助の範囲内である場合、特別寄与とはなりません。 そしてさらに、その扶助の結果、現実に相続財産が維持または増加していなければ、特別寄与にはなりません。

・特別受益について
被相続人の生前に、婚姻や養子縁組による贈与、生前贈与などを受けた特別の利益を特別受益といいます。 特別受益は、相続人の公平を図り、相続の際に配慮されることになります。 残っていた相続財産に特別受益で受けた金額を足したものを相続財産として、各相続人の相続分を決めますので、特別受益を受けた相続人は、相続分から特別受益分を差し引いたものが相続分となります。
特別受益者は以下のような場合となります。

・被相続人から婚姻や養子縁組のための贈与を受けた者
・被相続人から結納金や挙式費用のための贈与を受けた者
・被相続人から遺贈を受けた者
・被相続人から生前贈与を受けた者

特別受益証明書

被相続人の生前にすでに相続分以上の贈与を受けていた場合は相続分はありません。そのことを遺産分割協議書の代わりに、書面にしたものが特別受益証明書です。 相続放棄の手続きなどを家庭裁判所でするのが面倒な場合にも、この書面を用いられることがあります。
特別受益証明書を全員の相続人から集めることで、遺産分割したのと同じ結果となるので、相続財産をひとりの相続人の所有とすることができます。 便利に思われる特別受益証明書ですが、以下のようなトラブルの原因となっています。

・相続放棄とは違い、特別受益者は遺産を取得しなくても債務は相続することになる。
・他の相続人に脅迫されて書かされたり、親が勝手に子供のものを書いたり、偽造される可能性がある。